コネヒトのタレ

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ママが最も孤立する「深夜」を救うママリのチャレンジ

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こんにちは、2018年に出産をしたママの3人に1人が利用するアプリ「ママリ」ディレクターグループの平野です。
ママリに日々投稿される膨大なQ&Aの中からデータに基づき、多くの人にとって役立ちそうなQ&Aを、プッシュ通知やアプリトップに表示させるコンテンツとして選ぶ業務を担当しています。
今回は、ママリ史上初となる「深夜」の時間帯にフォーカスを当てた、かなりチャレンジな試みについてお話します。

ママリを使うユーザー層

ママリは、子育て中・妊娠中・妊活中の女性のためのQ&Aアプリです。
アプリを使うユーザーの多くは子育て中のユーザーで、特に0〜1歳の乳幼児を育てる女性が多く、乳幼児ママたちの悩みや関心ごとをキャッチしやすいサービスと言えます。

ユーザーがアプリを起動する時間帯

ママリを使うユーザーの大多数を占める0〜1歳の乳幼児ママが、1日にママリを起動する時間帯は21時〜23時が主です。
夕方は食事の支度や子供のお世話で忙しく、アプリを起動するユーザーも減ります。そして子供の寝かしつけが終わりひと段落する20、21時以降にアプリを起動するユーザーが大半です。

しかし、乳幼児ママ達は深夜0時以降も毎日2,000人を超えるユーザーがアプリを起動しています。その背景として考えられるのが、乳幼児特有の夜間のお世話です。

乳幼児、特に低月齢の時期は、昼夜関係なく授乳やミルク、オムツ交換などのお世話が必要です。
そのため乳幼児ママ達は、深夜であろうと子供が起きる度に起き、再び寝かしつけた後の時間にもママリを起動していると考えられます。

「ママリを起動する>自分の睡眠」その背景にあるもの

自分の睡眠時間を削り、深夜にママリを起動している乳幼児ママは決して少数ではありません。

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乳幼児ママが深夜帯に投稿した一例
ママリ起動後のアクションは、今の状況を投稿するユーザー、ただ誰かの質問を閲覧するユーザーなど様々です。

客観的に見ると、子供を再び寝かしつけようやく手に入れた安息の時間に「なぜ」スマホを手に取りママリを開くのか。一刻も早く寝るべきだ、と感じる方もいるはずです。

しかし、深夜にママリを起動するどのユーザーにも共通するのは「今起きている誰か」と繋がりたい、話しがしたい、そんな気持ちではないでしょうか。

眠る前のわずかな時間に、「ひとけ」を感じたい。
暗く、静かな深夜にママ達を襲う孤独な気持ちが、ママリを深夜に起動する原動力だと感じました。

足りないのは「繋がれる場所」

ただ誰かと話したいだけ。質問をしたいのではなく、ただ聞いてほしいだけ。今起きている人と繋がりたいだけ。

孤独を緩和するために必要なのは「ユーザー同士が簡単にコミュニケーションを取れる場所」だと思い、ここに特化した取り組みを決めました。

「孤独な深夜」を緩和するために始めたこと

ママリのアプリトップページに、深夜0時〜5時の間だけ「深夜に眠れないママ達がホッとひとやすみできる場所」を作りました。

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普段、この場所は「今日の日替わり質問」という、ユーザーが投稿した質問の中から多くのユーザーに役立ちそうな質問を掲載し、回答を募るQ&A形式のコンテンツがあります。

その場所を、深夜の5時間限定でQ&A形式ではなく、今思っていることや、今日あったことをただコメントするロビー形式にしました。

ロビー形式は、質問に対するコメントと違い、自分の思ったことをそのままコメントができるので「コメントを投稿する」というハードルがぐっと下がります。
さらに、この時間限定であることを強く伝えることで、この場所にはリアルタイム性があり、今起きている人が集まる=「ひとけ」があることをユーザーが直感で感じることができます。
コミュニティへの参加ハードル自体を下げるため、誰かの回答に「いいね」ボタンを押して共感をアピールするというアクションも推奨しました。
コメント以外の参加方法を肯定することで、ユーザーにかかるコミュニケーションの精神的負担を軽くすることができたと思います。また、コメントや質問投稿をしない、見ることを目的としたユーザーの参加も促しています。

深夜にアプリ起動推奨?という懸念

この取り組みは大きなチャレンジでした。なぜなら、ママリは悩み相談アプリ。サービスの基本はQ&A形式のやり取りであり、ママリが公式にQ&A以外のコミュニケーションの場を用意することは、サービスの基本から外れる行為でもあるからです。
また、深夜にユーザーのアプリ起動を推奨しているとも受け取れる取り組みが、本当にユーザーのためになるのか、という懸念もありました。

しかし、実際に深夜ママリを起動するユーザーが求めていること、その背景を考えた時に、規制されたルールを壊してでもチャレンジする価値があると思いました。

結果、ユーザーの反応は想像以上

懸念はありつつ、取り組みはスタートしました。そして開設から数日後、データを見て驚きました。
元々アプリを起動する人数が少ない深夜(0時〜5時)5時間だけの場所。しかし、この場所に集まるコメントの数は、日中(5時〜23時)19時間の日替わり質問に寄せられるコメントの数とほぼ同数だったのです。
そして、寄せられたコメントの60%は0〜1歳の乳幼児ママによるものでした。

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「深夜のひとやすみ」に投稿されたユーザーの声

当初の仮説通り、深夜に孤独を感じる乳幼児ママ達がこの場所を受け入れてくれました。
開設して1ヶ月以上が経ち、この場所を訪れる人数は常に安定しています。実験的にスタートしたこの場所は、0〜1歳の乳幼児ママ達にとって安心できる場として認知され始めているのではないかと思います。

さらに嬉しい発見も

「『今』眠れない、誰かと繋がりたい。」という人のために開いたこの場所は、乳幼児ママをメインターゲットにしています。
ですが、ママではないユーザーも疎外を感じず気軽に参加してほしい思いもあり、導入文に「ママのため」と感じる記載は無くしました。

その効果もあり、この場所でやり取りをするユーザーは大半が乳幼児ママですが、出産間近で眠れない妊娠後期のユーザーも毎日一定数いるのです。
その妊娠中ユーザーに、同じように不眠や不安を経験をしてきた乳幼児ママ達が、アドバイスや応援のコメントを送るやり取りも日々活発に行われています。

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「深夜のひとやすみ」に投稿された妊娠中ユーザーと乳幼児ママのやり取り
このやり取りには非常に大きな価値があります。
妊娠中ユーザーの不安な気持ちが緩和され、乳幼児ママ達も自分が妊娠していた頃・初心を思い出すきっかけになります。
ユーザー同士の状況は違っても、お互いにとって良いコミュニケーションが作れるのは、妊活中〜子育て中の様々な女性が集まるママリだけの強みであると言えます。

ママリのブランドミッション「ママの一歩を支える」の実現

最後にこれは私事ですが、今回のテーマである「深夜に感じる孤独」は、私も自分の子供が低月齢の時に感じたことがある大変苦しい時期でした。しかし当時の苦しい思いがあったからこそ今回の取り組みを考え実行できたとも思います。

ママリには「ママの一歩を支える」というブランドミッションがあります。今回の取り組みはママになったばかりの乳幼児ママを支えるというものでした。

今後もママリはママ達の求めるサービスを届け、ママ達の圧倒的な味方であり続けたいと思います。