本記事はコネヒト Advent Calendar 2018 - Qiitaの4日目のエントリーです!
こんにちは!人事をやっています宮崎です。お土産では岩手のかもめの玉子が好きです。
今日は近年流行しているOKRに関する話をしたいと思います。コネヒトでもOKRを導入しておりますが、その推進でこれまで大事にしてきたことを一部共有させてください。
OKRとは何か?
OKRは雑に言うと、目標管理のメソッドです。Objective & Key Resultsの頭文字をとって呼んでいます。 2014年に出版されたHow Google Worksで、Googleが採用している管理手法だと紹介され、ITスタートアップを中心に流行しています。国内ではメルカリさんが上手に導入しているのが有名ですね。ちなみにこのメソッドを生み出したのはGoogleではなくインテルの創業者らしいです。(豆知識)
- Objective(野心的な目的)
- 私たちはどこへ向かいたいのか
- Key Results(目的を支える主要な結果)
- どのようにして達成させたいか
Objectiveは目標というよりもどちらかといえば目的に近い印象です。(このあたりはムーンショットの菅原さんのエントリーがとてもわかりやすいのでおすすめです。)Key Resultsは目的達成のための戦略と混同してしまいがちなのですが、あくまで「目的達成を構成する結果指標」と解釈しています。
例えば、
「ママリのQ&Aアプリの利用満足度No.1をとるぞ!」をObjectiveとした時に、「返信率98%以上」「回答がつくまでの所要時間95秒以内」というKey Resultsを設置してみます。Key Resultsを達成すると、利用満足No.1がとれる!という因果関係が確認できれば、それはOKRとして成立していると言えます。
※ OKR自体を詳細に紐解いていくことは今回はやりませんので、エントリーの最後にOKR理解を進めるためのリンクをいくつか貼っておきます。
OKRの効能あれこれ
- 野心的な目的設定ができる
- 目指すべきゴールがわかりやすくなる
- フォーカスすべき重要な仕事が明らかになる
- 経営、部門、個人が向かう目標と進捗の透明性が高くなる
- 個人目標の意味付け、意義づけが進む
…と、OKRが果たす役割は色々あるのですが、コネヒトで最も重要視したのは個人目標の意味付け、意義づけでした。
なぜなら、コネヒト社は、コーポレートミッション/ブランドミッションへ強い共感を持つ人たちが集まっている会社だからです。ミッションと個人目標のつながりを強く実感できるようにすれば、より大きな力が生まれるであろうと信じました。
そこで、今回はOKRが持つ目標の意味付け、意義づけという効能にフォーカスして推進した件について、具体例を交えてお話をしたいと思います。
OKR推進の構造を振り返ってみます
- 経営に野心的なObjectives(目的)を生み出してもらう
- 部門のOKRを策定する
- 部門のOKRを達成するための、戦略・戦術を引く
- 部門の戦略戦術に紐づけた個人の目標を設定する
OKRはざっとこのような構造になっており、経営のOKRから個人目標までが線でつながっていることに価値があります。しかしこの構造を作るだけでは、個人が目標に意味付け、意義づけされたとは言いづらいです。いわゆる、頭ではなんとなくわかったけど、腹には落ちてない状態である可能性が高いからです。Objectives(目的)に熱狂し、いこうよ!やってやろうよ!ウォォォォ!という状態にするには、まだ何かが足りません。
腹に落とすために必要な2つの合意形成
私たちは、目標を意味付け意義づけするために、以下2つの合意が必要であると仮定しました。
- これは取り組む価値のある目標だ! -(Objectiveに対する感情的な合意)
- 個々人が目標を達成すると、ちゃんと部や会社の目的も達成されそうだぞ! -(戦略に対する理性的な合意)
これをそれぞれ、「わくわく感」「いけそう感」と名付けてみました。
それでは、この「わくわく感」と「いけそう感」を高めるために実施した取り組みについて共有していきます。
「わくわく感」を推進してみた
わくわく感は、上図でいうピンク色のエリアの話です。経営が何を目指しているか、部門が何を目指しているかなどの目的を、文字列の理解ではなく、感情で合意できるもの(わくわくできるもの)にする必要があります。
私たちはこの「わくわく感」を推進するためにOKRストーリーを知ろうというワークを導入しました。
これは「わくわく感」醸成ワークショップで実際につかったシートの一部です。
- OKRを達成するとどんなステージへ進めるのか
- そのステージを目指す意義は何か
- 具体的にはどんないいことがあるのか
左側は「部門OKRストーリー」と呼んでおり、部門OKRを達成することで実現できることが羅列されます。ここをマネジャーにプレゼンテーションしてもらいます。この時点でマネジャーは経営との間で事前ワークをこなしており、経営のOKRと部門のOKRのつながり、そしてそれの達成で実現できることについて自分の言葉で語れるようになっています。
メンバーはマネジャーのプレゼンを聞いて、ピンとこなかったことや知りたいことなどを質問していきます。もちろんその質問にも、マネジャーは自分の言葉で返答をします。このやりとりにより「OKRの意義について自分の言葉として語るマネジャー」を目の当たりにして、感情的合意が進みます。最後に、メンバーに「わくわくしたポイント」を自分の言葉で発声、言語化してもらってワーク終了となります。
このワークの一番のポイントは、マネジャーが一足先に感情的合意(わくわく)している状態をメンバーに感じてもらうことでした。100の説明よりも、実際に心が動かされている1人を目の当たりにすることが強烈である、というわけですね。
「いけそう感」を推進してみた
いけそう感は、上図でいう水色のエリアの話です。部門OKRを達成させるために描いた戦略や戦術について、それが実現可能なものであるか、取り組みのイメージがわくかなどを、理性的に合意できる状態(納得。これならいけそう、と感じる状態)にする必要があります。
(閑話休題)なぜ戦略は浸透しないのか??
戦略の浸透は世の中の会社が抱える代表的な課題の1つです。では、なぜ戦略は浸透しにくいのでしょうか?それは、不安要素や不確定要素に蓋をしてしまうからではないか…?という仮説を立てました。戦略の合理性を伝えることに力を注ぎすぎて、戦略が持つ不確実性まで伝えられない。その結果、シラケが発生してしまうのではないかと。
つまり逆説的に言えば、戦略や戦術が生み出す課題点をぜんぶテーブルの上に並べて、共通認識化してしまえば、あとはその課題に向き合うだけになり、スッキリするのでは…?
課題の共通認識化が「いけそう感」を生む
これは、いけそう感UPワークでつかったフレームです。 マネジャーから戦略について共有を受けたメンバーは、感じた課題感を付箋に書いて5つのカテゴリに分けてプロットしていきます。" 目的やねらいがわからないカテゴリ " などだいぶ強烈なものもありますが、忖度なしです。直感に従って意見をどんどん出してもらいます。このシートにいっぱいに付箋が貼られたら、戦略が持つ不安要素について皆で共通認識化できた状態が生まれます。あとはこの課題を1つ1つ潰していくだけです。人は見えないものを不安に思い、見えるものに安心します。見えている状態が作れれば、それがおのずと、いけそう感(理性的な合意)につながっていくはずです。
オフサイトにこだわった
ともすれば、戦略をメッタ斬りにするようなワークとも捉えられるので、これを実施する環境選びはとても重要でした。オフィスを飛び出て、オフサイトミーティングとして、明るい気持ちで実施できる環境を探しました。
写真は春に実施した戦略浸透合宿の様子です。世田谷ものづくり学校という、かつて小学校だったレンタルスペースを利用しました。日当たりもよく、終始楽しげな空気でワークができるのでおすすめです。
まとめ
OKRを支える、わくわく感(感情的合意)と、いけそう感(理性的合意)、いかがでしたでしょうか。
経営のOKRを作り、部門のOKRを作り、部門戦略をつくり、OKRと部門戦略の浸透合宿(わくわく感といけそう感)を実施し、ようやく個人目標設定にたどり着くというのはとっても骨が折れます。しかし、これを頑張ることで、OKRを導入した最大の目的であるミッションと個人目標のつながりに一定の効果がでていると感じているので、今後も継続していこうと思っております。わくわくといけそうを推し進めるHowの開発はまだまだこれからなので、よいネタが生まれてきたらまた共有をしたいと思います。